ラブドールは適切な使用方法を守らなければ、破損や劣化を招くだけでなく、安全面や衛生面でのトラブルにつながることもあります。さらに、社会的な視点からは、ラブドールの扱いに対する倫理的な問題や、周囲への配慮も重要なポイントです。
この記事では、ラブドールを安全に使用するための注意点を詳しく解説し、モラルや倫理的な観点からの適切な取り扱いについても触れていきます。オーナーとして、快適で安心な使用環境を整え、周囲とのトラブルを避けるためのポイントを押さえておきましょう。
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ラブドールの使用時の注意点
適切な環境(温度・湿度など)で使用する
ラブドールは高温多湿に弱いため、涼しく乾燥した環境で使用・保管します。理想的には室温30℃以下・湿度50%以下が推奨されており、エアコンや除湿器で管理するとカビや変形のリスクが大幅に減ります。
特にTPE製のドールは夏場の放置で表面にカビが生えたり変形したりしやすいので注意が必要です。
直射日光が当たる場所やヒーターの近くなど高温になる所は避け、日陰で風通しの良い場所に置きましょう。湿度の高い浴室や湿気がこもる場所での保管もカビの原因となるため避けてください。
適切な姿勢で使用する
ラブドールのポーズを変更する際はゆっくり丁寧に動かし、関節に無理なひねりやねじれが生じないようにします。
もし動かしていて抵抗を感じたら、それ以上力を加えないでください。
重いドールを持ち上げるときは腰を痛めないよう姿勢に注意し、できれば二人で持つか支えを利用すると安全です(150cm程度のドールでも約30kg、170cmでは約40kgになるものもあります)。
自然な体位を心がける
ラブドールを使用する際は、人間に近い自然な体位を取らせることが基本です。
腕や脚を極端に開いたりひねったりする体勢は避け、関節に無理のない姿勢にしてください。特に脚を大きく開脚したままにしたり、腕を真上に長時間上げっぱなしにするのは避けましょう。無理な姿勢はドールの関節や素材に余計な負荷をかけ、破損や変形の原因になります。クッションや枕を使ってドールの体を支えると、特定の部位に体重が集中せず負担軽減に役立ちます。
関節は無理に動かさない
ラブドールの関節を曲げ伸ばしするときはゆっくり丁寧に動かし、抵抗を感じたらそれ以上力を加えないようにしましょう。ラブドールの可動域には限界があります。
多くの場合、人間の関節の可動範囲と同程度に設計されていますが、あくまで目安です。関節を動かす際は関節部位(肘や膝など)に手を添えて支え、テコの原理で過剰な力が掛からないようにするのがコツです。
指先など細かなワイヤーが入っている部分は特に壊れやすいので注意しましょう。指を曲げるときは指先を引っ張らず、根元を支えながら曲げるようにします。頻繁に指を曲げ伸ばしし過ぎると中の金属ワイヤーが金属疲労を起こし、指が折れたり突き出してしまうこともあります。
潤滑剤をたっぷり使用する
ラブドールと接触する部分には潤滑剤(ローション)をたっぷり使用することを心がけてください。
特にラブドールの膣部や肛門部の内部は摩擦が起きやすいため、十分な量の水溶性潤滑剤を塗布することでスムーズに使用でき、素材の摩耗や裂傷を防ぐことができます。潤滑剤を使うことで、人とドールの摩擦が減り、結果的にドールの肌や内部パーツへの負担軽減につながります。ただし油性の潤滑剤は使用しないでください。
シリコン製やTPE製のドールに油性潤滑剤を使うと素材を劣化させたり、染みを残す恐れがあります。必ずラブドール対応の水溶性のローションを使いましょう。
ラブドール素材の別の注意点
ラブドールの主な素材であるシリコンとTPEには特徴の違いがあります。
シリコン製
耐久性が高く劣化しにくい反面、素材の密度が高いため同サイズのTPE製より重量が増す傾向があります(例:身長170cmのドールで約40kg)。
持ち運びや姿勢変更の際にはこの重量を考慮し、落下や衝突に気を付けてください。
TPE製
柔軟でリアルな肌触りが魅力ですが、油分を含んだ多孔質な素材のため環境の影響を受けやすいです。熱が加わると柔らかくなり、冷えると硬くなる性質があり、高温下では変形や劣化が起こりやすいので注意しましょう。
また湿気を吸収しやすく、表面がベタついてホコリや雑菌が付着しやすいため、使用後は表面を清潔にし乾燥させてからベビーパウダー(タルク)を薄くはたいておくと良いです。
衣類による色移りにも注意が必要で、特にTPE肌は布の染料を吸着しやすいため、長時間濃色の服を着せっぱなしにしないでください。濃い色の衣装や色落ちしやすい服は避け、なるべく白や淡色の衣類を選ぶと安全です。万一色移りした場合は、専用の脱色剤で早めに対処します。素材に応じた適切な手入れを行うことで、ドールの美しさと寿命を保つことができます。


法的・倫理的な注意点
ラブドールの使用に関して、日本国内で知っておきたい法律上のポイントや、社会的マナー・倫理面での注意点をまとめます。法律に触れない範囲で安心して使用するための知識と、周囲への配慮について確認しましょう。
日本国内の法規制
2025年現在、日本にはラブドールそのものを直接規制する法律はなく、購入・所持・販売は基本的に自由とされています。いわゆる幼児や未成年を模した「児童型ラブドール」についても現時点では明確な法規制がなく、所持自体は違法ではありませんが、年々規制が厳しくなってきており販売サイトから画像が消されたりすることが起きています。
ただし、販売業者側では他のアダルト商品と同様に18歳未満への販売禁止やサイト閲覧制限を設けており、未成年者が購入・使用しないよう措置されています。
要するに、大人が自己責任で所有・利用する範囲では合法ですが、未成年者にはアクセスさせないよう年齢確認などのルールが守られています。なお、海外では幼児型ドールの製造販売を禁止する国もあり、日本でも倫理面から議論が続いているのが実情です。
モラルや社会的な配慮
社会的マナーの面では、第三者に不快感や誤解を与えないよう細心の注意を払うべきです。例えば、宅配便の受取や引越しなどでドールを運搬する際は、周囲から中身が露見しないよう厳重に梱包する、写真をSNSに投稿する際も見る人への配慮を忘れない、といった心遣いが望まれます。
さらに、ラブドールが不要になった場合でも、適切に処分する責任があります。決して人目を避けて山中や路上に不法投棄してはいけません。不法投棄は廃棄物処理法違反となり、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金刑が科される重大な犯罪です。実際、川や林に遺棄されたドールが事件と誤認され騒動になるケースや、環境汚染の問題も報告されています。不用品回収業者や自治体の粗大ごみ回収など正規の方法で処分し、社会に迷惑をかけないようにすることもモラルの一部です。
公共の場での取り扱いに関する注意
ラブドールの使用は基本的に自宅などプライベートな空間に限るべきであり、公共の場に持ち出すことは厳に慎む必要があります。日本の法律では、公然とわいせつな行為をすることを禁じており(刑法174条)、不特定多数の人の目に触れる場所で性的な振る舞いをすれば公然わいせつ罪に問われます。
例えば、人前で性器を露出したり公共の場で性交類似行為を行うことはこれに該当し、たとえ相手が人形であっても許されません。従って、ラブドールと屋外や車中で性的行為を試みることは法律違反となり、逮捕・罰則の対象となります。
また、ドールを裸のままベランダや窓際に置いて近隣から見える状態にすることも、周囲に不安や誤解を与えトラブルの原因になります。公共の場所で撮影をする場合でも、ドールには適切な衣服を着せ、猥褻なポーズを避け、撮影許可が必要な場所では事前に許可を取るなど配慮が不可欠です。
要するに、ラブドールの扱いは自宅内のプライベートな楽しみに留め、公衆の目に触れる状況を作らないことがルールとなります。
まとめ
ラブドールを安全に使用するためには、適切な取り扱いが不可欠です。使用環境は涼しく乾燥した場所を選び、直射日光や高温多湿を避けることが重要です。破損防止のため、関節の可動範囲を守り、強い力を加えずに慎重に扱いましょう。特にTPE製は色移りや変形しやすいため注意が必要です。ドールを持ち運ぶ際は重量を考慮し、安全な姿勢で取り扱うことが求められます。また、使用後は肌の傷や関節の異常を確認し、長持ちさせるために適切な点検を行うことが推奨されます。
倫理的・法律的な観点では、日本ではラブドールの所持や使用は合法ですが、未成年者への販売は禁止されています。また、社会的な配慮として第三者に不快感を与えないよう管理し、処分の際には適切な方法で廃棄することが求められます。さらに、公然わいせつ罪に抵触しないよう、公共の場での使用や露出は避ける必要があります。