ラブドールに色移りしてしまうと気分が落ち込みますよね。。お気に入りの衣装を着せたら、ラブドールの肌に服の色が染み付いてしまった…なんて事態は避けたいものです。この記事では、ラブドールの色移りの原因と予防策、万一色移りしてしまった場合の対処法、適した衣類の選び方、そして日頃のメンテナンスのコツまでまとめてご紹介します。
ラブドールへの色移りの原因
衣服や布製品からの色移り
ラブドールへの色移りで最も多い原因は、衣服の染料が移ってしまうことです。
特に濃い色の衣服や強い染料で染められた布は注意が必要です。新品の黒や赤の服、濃紺のデニム、生地の安いコスチュームなどは、染料が生地に定着しきれておらず、ドールの肌に触れると色素が移行しやすい傾向があります。ラブドールの肌は柔らかく多孔質なため、布地から染料が接触すると吸い込んでしまうのです。
また、新品の衣装は特に染料が余分に残っていることが多いため、初めて着せる前に一度洗濯して余分な染料を落としておくことが推奨されます(※洗濯しても100%防げるわけではありませんが、何もしないより格段に安全です)。
衣服以外にも、長時間接触する布製品は要注意です。濃色のシーツや毛布、ソファの布地、さらにはウィッグのネット(特に黒)もドールの頭部に色移りを起こす場合があります。身近なところでは新聞紙や雑誌の印刷インク、革製品の染料なども移る可能性があるため、ドールに触れる物の色には細心の注意を払いましょう。

保管環境(湿度・温度・接触時間)
環境要因も色移りに影響します。高温や高湿度の環境では、ラブドールの素材から油分(可塑剤)がにじみ出しやすくなり、この油分が衣服の染料を溶かして色移りを促進します。
例えば夏場の暑い部屋に長時間ドールを置いておくと、それだけで衣装との接触面から染料が移りやすくなります。
また、長時間の接触そのものもリスクを高めます。短時間の撮影であれば問題なかった服でも、何日も着せっぱなしにすると次第に色素が浸透してきます。加えて、ドールに衣装を着せた状態で重い圧力がかかったり密着したまま保管すると(例:布団や他の物に押し付けられる、狭い箱に入れたままなど)、圧力と時間の相乗効果で染料がより深く染み込んでしまいます。
要するに、「高温多湿+長時間密着」という状況は色移りの三大要因と覚えておきましょう。
ラブドールの素材による色移りのしやすさ
ラブドールの素材として代表的なものにTPE(熱可塑性エラストマー)とシリコンがありますが、実はこの素材の違いも色移りの起こりやすさに関係しています。TPE製のドールは色移りしやすいことで知られています
TPE
TPEにはシリコーンオイル(可塑剤)が多く含まれており、この油分が衣服の染料を溶かし出してしまうことがあります。
染料は溶け出すとTPEの中にすぐ浸透し、内部まで染み込んでしまいます。
シリコン製
シリコン製のドールは比較的色移りしにくい傾向があります。
シリコン素材はTPEに比べてオイル成分が少なく、染料が浸透しにくいためです。ただし「しにくい」とはいえ完全に色移りしないわけではありません。シリコンでも長時間濃色のものと接触すれば表面に色が付着しますし、時間が経てば徐々に染み込む可能性もあります。
実際、TPEに比べれば浅い染みで済み落としやすいとは言われますが、シリコンでも油断は禁物です。
色移りの予防策
色移りは起きてしまってからでは落とすのが大変です。ですから、事前にしっかり対策して「そもそも色移りさせない」ことが一番! ここではぜひ実践してほしい予防策を紹介します。
適切な服を選ぶ
まずは色移りしにくい服選びが基本です。
新品の濃い色の服をいきなりドールに着せるのは避けましょう。なるべく淡い色合いの衣装や、染料が安定している高品質な服を選ぶのが安心です。特に肌に直接触れる下着やタイツは白やベージュ系が無難です。また、生地は綿やシルクなど天然素材のものが比較的安心と言われています。逆に安価なコスプレ衣装などは染料が落ちやすい場合があるので注意が必要です。「どうしても黒い服を着せたい!」という場合は、その服を事前によく洗濯してください。一度洗うだけでなく、色落ちしなくなるまで何度か水に浸け置きするのがおすすめです。面倒に感じるかもしれませんが、このひと手間でだいぶリスクが減りますよ。
また、手芸店で売っている色止め剤を使って服の染料を定着させる方法もあります。大切な衣装の場合は検討してみても良いでしょう(説明書の指示通りに使い、風合いが変わらないか注意してくださいね)。いずれにせよ、新しい服は一度洗うという習慣をつけておくと安心です。
ラブドール専用の衣類を選ぶ
ラブドールオーナー向けに、市販でボディストッキング(ボディタイツ)というものが売られているのをご存知ですか?これは人形の首から足先まで全身を覆うスーツのような下着で、肌と衣装の間にバリアを作るものです。
薄手の生地でできており、上から服を着せてもシルエットに響きにくいので便利です。このボディタイツを着せておけば、その上にどんな服を着せても色移りのリスクを大幅に下げられます。
市販品でなくても、人間用の薄いストッキングを裁断して自作する人もいます。また、全身タイツほど本格的でなくても、例えば長袖のインナーやタイツ・靴下など薄いインナーウェアを重ねて着せるだけでも効果はあります。要は人形の肌に直接色付きの布が触れないよう工夫すればOKです。「専用の衣類」という意味ではありませんが、白いシーツや布で人形をくるむのも一つの手です。
特に保管時など衣装を着せないときでも、埃避け兼ねて白布でくるんでおけば、万が一周囲の物から色移りするのも防げます。
適切に保管をする
ラブドールの保管時の環境や姿勢も色移り対策では見逃せません。まず環境ですが、直射日光が当たる場所や高温多湿な場所はNGです。日光は人形の肌を劣化させるだけでなく、温度が上がることで服の染料がにじみ出やすくなります。保管は日の当たらない涼しく乾燥した場所で行いましょう。
次に姿勢ですが、長期間服を着せたまま同じ姿勢で置いておかないことが大事です。
特にTPE製ドールは「できるだけ裸で保存」が鉄則と言われるほど、服による色移りや型押しの影響を受けやすいです。クローゼットなどに吊るせる専用フックがあれば、吊り下げて保管すると服も着せずに済み、圧力もかからないのでベストです。難しければ、せめて着せたまま放置するのは避け、こまめに服を脱がせて肌を休ませてあげましょう。
どうしても服を着せたまま保存したい場合でも、時々チェックして着替えさせるようにすると安心です。また、座らせたり寝かせたりして保管する場合、下に敷くものの色移りにも注意してください。
例えば色の濃いソファや布団に直接寝かせると、そこから色素が移る可能性があります。白いシーツやカバーを敷いて、その上に横たえるようにすると安全です。要するに、「涼しく暗い場所」「できれば裸か安全な服のみ」「色のついたものに触れさせない」の3点が保管のコツです。
ベビパウダーやオイルを活用する
ラブドールをお迎えした人はよく聞くと思いますが、ベビーパウダー(またはタルク、コーンスターチパウダー)は強い味方です。
ラブドールの肌にパウダーをはたいておくと、肌表面のベタつきを抑えてサラサラの手触りになります。
こうすることでホコリや汚れも付きにくくなり、服の色素も付着しにくくなる効果があります。
パウダーは着せ替えのたび、あるいは定期的に(目安として月1回程度)優しく塗布してあげましょう。
次にオイルですが、TPE製ラブドールの場合は定期的なオイルケアも有効です。TPEは油分を含む素材なので、適量のミネラルオイル(ベビーオイル)を肌に染み込ませることで柔軟性を保ち、ひび割れなどを防ぐメンテナンスになります。ただし、オイルを塗った直後は肌がより「しっとり」して染料を吸いやすい状態にもなるため、オイルを使うタイミングには注意しましょう。
オイルマッサージをした後は余分な油分を拭き取り、しっかりパウダーでサラサラにしてから服を着せるようにします。適切なオイルケアで素材を良好に保っておけば、結果的に大きな劣化やダメージ(色移り含む)を防ぐことにつながります。
反対に、種類不明のオイルやクリームをむやみに使うのは厳禁です。中には成分が強すぎて素材を傷めたり変色させてしまうものもありますので、使用するのはメーカー推奨のケア用品にとどめましょう。
色移りした場合の対処法
万全の注意を払っていても、「あっ、色移りしてる!」という瞬間がいつか訪れるかもしれません。そんなときは焦らずに、次のような手順で対処してみてください。
すぐに服を脱がせる
色移りに気づいたらまず迅速に原因となった衣類やウィッグを外します。これ以上染料が移らないようにするため、放置しないでください。長時間密着させたままだと染料がさらに浸透してしまいます。
優しく洗浄する
衣類を外したら、色が付いてしまった人形の肌を中性洗剤を溶かしたぬるま湯でやさしく洗いましょう。スポンジや柔らかい布でポンポンと叩くように汚れを移し取るイメージです(ゴシゴシ擦るのはNGです、肌を傷めてしまいます)。この段階で薄い汚れであれば落ちてくれることもあります。洗剤を使った後はしっかり水で流し、柔らかいタオルで押さえるように水気を取って乾燥させます。
専用クリーナーや除去剤を使う
洗っても色が残ってしまった場合は、ラブドール専用のシミ抜き剤を試しましょう。各メーカーから「ドールクリーナー」や「ステインリムーバー」といった製品が出ています。
特にソフトビニール人形向けには効果的なものが多いですが、TPEやシリコンでも使えるタイプがあります。使い方に従って塗布し、一定時間おいてから拭き取ると徐々に染みが薄くなることが期待できます。ただし、素材によっては専用剤でも完全に落としきれない場合もあります。
素材ごとの適切な除去方法
色移り対策は素材によって若干の違いがあります。
TPE
色移り対策は素材によって若干の違いがあります。TPE素材の場合、上述の過酸化ベンゾイル系クリームが非常に有効とされています。TPEは染料が内部まで入り込みやすい反面、過酸化ベンゾイルで比較的抜けやすいとも言われます。専用ステインリムーバーの多くもTPE対応です。
TPEはアルコールや溶剤に弱いため、強い有機溶剤(シンナー等)での拭き取りは厳禁です。クリームを使う方法以外では、時間経過で自然に薄くなるのを待つという手もあります。TPEは時間とともに内部の可塑剤が滲み出し、それに伴い染料成分が拡散・希釈されていくため、何もせずとも数週間〜数ヶ月でシミが薄まることがあるのです。ただし確実ではない上、その間見た目にストレスを感じるでしょうから、やはり可能なら除去作業をした方が良いでしょう。
シリコン素材
シリコン素材の場合、色移りが浅いことが多く、表面を拭き取るだけで落ちるケースもあります。落ちにくい場合は、シリコンは化学的に安定しているためアルコールで拭く方法がTPEより安心して使えます(シリコンはアルコールでは劣化しにくい)。とはいえ、やはり過酸化ベンゾイル系の漂白クリームはシリコンにも効果があります。実際「シリコン製・TPE製どちらにも使える」とうたったドール用ステインリムーバー製品も存在します。シリコンはTPEより染み込みにくいぶん、一度染みた色は素材内部ではなく表面近くに留まっていることが多いです。そのため、じっくり時間をかけてクリームを作用させれば比較的綺麗に抜けると言われます。逆に強く擦ったり紙やすりで削ったりすると、素材そのものを傷めてしまい逆効果です。シリコンもTPEも、「優しく・焦らず・何度かに分けて」シミ抜きをするのがコツです。
NGな対処法
ラブドールの色移り対応でやってはいけないことも覚えておきましょう。
強力すぎる溶剤(アセトン、シンナー類)は絶対に使わないでください。
色どころか素材そのものを溶かしたり、肌がただれてしまう危険があります。また、研磨剤入りのクレンザーやメラミンスポンジで擦るのも厳禁です。微細な傷がついて、かえって汚れが取れにくくなってしまいます。
基本は「優しく」「ドール用か人体用に安全なもの」で対処するのが原則です。それともう一つ、時間が経ちすぎた色移りは完全に落とすのが難しい場合があります。
多少薄くはなっても痕が残るケースもあるため、「落とすための努力」と同時に「今後これ以上ひどくしない」ことも考えましょう。どうしても落ちないシミは無理にいじらず、新たな色移りを増やさないよう注意しつつ、むしろ次章で述べるような対策で予防を徹底することが大切です。
時間が経ってしまった場合の対処法
色移りに気づかず長時間放置してしまった場合、染料が素材深くまで浸透していることがあります。例えば「気付いたら何週間も黒い下着を着せっぱなしだった」などの場合、表面だけでなく内部まで色素が入り込んでしまい、簡単には抜けなくなります。
それでもできる限りの手は尽くしてみましょう。上記の専用クリーナーを繰り返し適用するのが最も有効な手段です。一度でダメでも数日おきに何度か試すことで徐々に薄くなっていくケースもあります。
加えて、TPEなら時間経過による自然減衰も期待できますから、部位によっては「見えないところなら無理に完全除去しようとせず、様子を見る」のも選択肢です。どうしても落ちない頑固なシミは、メイクで隠すという発想もあります。
ラブドール用のファンデーションやボディメイク用品を使えば、薄いシミ程度なら目立たなくすることも可能です。ただしそのメイク自体がまた色移りしないよう、信頼できるドール用の製品を使ってください。
最後に、プロに相談する方法もあります。ドールメーカーや専門のドール病院・メンテナンス業者では、色移り除去サービスを行っている場合があります。自分で対処する自信がない、大事なドールなので確実に直したいという場合は、そういったプロフェッショナルに依頼することも検討しましょう。
まとめ
ラブドールの色移りについて、原因から予防法、対処法まで初心者向けに詳しく説明しました。何より色移りさせないことが一番ですが、万一発生してしまっても早めの対応をすれば大抵の場合は薄くしたり消したりできます。発生直後のケアと専用クリーナーの併用で落とせるケースがほとんどです。逆に放置してしまうと落とすのが非常に難しくなるため、「もしかして色移りかな?」と思ったらその日のうちに確認・対処する習慣を持ちましょう。大切なラブドールをいつまでも美しい状態で楽しむために、日頃から色移り防止に気を配り、万全の注意を払ってあげてください。